縞(しま)

筋を平行に並べた、
あるいは縦横に交差させた連続模様のことで、
「よこ縞」と「たて縞」、「斜め縞」、「格子縞」があります。
 
室町時代から江戸時代にかけて輸入された「名物裂」の中に、
「間道」(かんとう)と呼ばれる異国情緒の「縦縞」があり、
これをきっかけに「縞文様」が注目されるようになったようです。
 
特に、南蛮貿易で南方諸島産の縦縞の木綿がもたらされると、
島で織られたことから
それらは「島渡り」「島物」「奥島」などと呼ばれました。
 
江戸時代に国産の木綿縞が登場すると、粋な柄として大流行し、
「縞」の字が当てられるようになったと言われます。
線の太さや数、間隔などによって、多くのバリエーションがあります。
 
 

1.子持ち縞

太い縞の隣の細い縞を並べた文様です。
太い縞の片側だけに細い縞が並んでいるものは「片子持ち縞」、
両側に並んでいるものは「両子持ち縞」と区別して呼ぶこともあります。
2本の太い縞の間に細い縞を1本入れたものは縁起が良いとされ、
婚礼用などに用います。
 

2.鰹縞

鰹の体の色から名付けたユニークな名前です。
鰹は背から腹にかけてだんだん色が薄くなっていきますが、
それと同じように
濃い色から薄い色へグラデーションのように
変化をつけたものを言います。
明るい青系が主流で、江戸時代には浴衣の柄として好まれました。
現在も染や織りのきものに用いられ、
染めの場合は「鰹ぼかし」とも呼びます。
 

3.矢鱈縞

地糸と縞糸の配列や配色が一定ではなく、
不規則に表現したものを「矢鱈縞」と言います。
江戸時代に女物の縮緬や木綿に用いられて大流行しました。
残った糸を処理するために織られることもありますが、
色数が多いので、他の縞と比べると華やぎがあります。
 

4.赤大名

縞と縞の間の地糸の本数が、
縞糸の倍以上もある縞を「大名縞」と言い、
「大明縞」とも書きます。
縞糸1本に対して地糸3本、
あるいは縞糸2本に対して地糸6本などのように、
細かい縦縞のものが多いです。
「赤大名」とはその縞糸に赤糸を用いたものです。
「大名縞」の横に細かい縞を並べたものは
「子持ち大名」と言います。
 

5.万筋

非常に細かい縦縞の文様です。
これより細かいものを「微塵縞」と言い、
倍くらい太いものを「千筋」と呼びます。
「万筋」は江戸小紋の縞柄の代表でもあり、
他に「毛万筋」や「極万筋」などが小紋にあり、
いずれも高度な技術が要求されます。
 

6.四筋(四本縞)

4本1組の縞が繰り返し並ぶ文様のことです。
同じように、
2本の場合は「二筋」、3本の場合は「三筋」と言います。
 

7.棒縞

太い縦縞の文様で、縞糸が6~20本くらいの太さのものを言います。
縞糸と地糸をほぼ同じ幅に配列したもので、
その柄がまるで棒を並べたように見えるので、この名があります。
また牛蒡を並べたように見えることから「牛蒡縞」とも言われます。
 

8.滝縞

細い縞から順に太い縞に配列し、
滝のように見えることからこの名があります。
縞柄には、各地方で自在に織られ、
その土地や縞の形から名付けられたものがあり、
滝縞もその一種です。
中心から両側に配列したものは「両滝縞」、
片側に配したものは「片滝縞」と呼ばれます。
 

9.竹筋

竹が並んで映えている様子を縞柄で表現したもので、
節が面白いアクセントになっています。
現在は主に小紋のきものに用いられます。
 

10.斜め縞

斜めに縞柄を表したもので、「はすかい縞」とも言います。
同一幅、同一間隔の縞が特徴です。
古くから衣裳の文様に用いられ、
桃山時代の武将の晴着にも斜め縞を用いたものが見られます。
 

11.よろけ縞

縞がよろけたように表されている文様で、
きものや帯に幅広く用いられています。
染めの場合は手描き・型染めで、
織りの場合は特殊な筬で経糸をずらすことによって、
よろけた感じを表現します。
直線の縞よりも柔らかい印象になります。
 

12.間道

室町時代に中国から伝わった縞の裂のことで、
「かんどう」とも読みます。
「漢渡」「漢島」「広東」とも書き、
高級縞織物として、茶人の間で珍重されました。
裂の所有者や茶器の名前を付けたものが、
名物裂の間道です。
 

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