裏白(うらじろ)

「裏白」(うらじろ)は、
「注連飾り」「門松」「鏡餅」など、
様々な「正月飾り」には欠かせない葉です。
 
冬ざれて辺りの野山が枯れ果てる中、
群落をなして青々と自生する
ウラジロ科の大型多年生草本です。
 
 
斜面を覆うほどの繁殖力を持ち、
四季を通して緑を保っていることから、
「子孫の永遠の繁栄」を象徴するだけでなく、
葉が左右対称なことから夫婦円満の象徴とも
考えられたりしています。
 
 
また葉の表面は濃い緑色ですが、
名前の通り、葉の裏は白いことは、
「二心がない」という真心を表すとか、
「夫婦の共白髪になるまで長生きする」
ということも表すとしています。
 
「裏白」は葉がしだれるので
「歯朶」(しだ)という呼び名もあり、
「歯」は「齢」(よわい)、「朶」は「枝」にかけ、
齢が延びる長寿長命の縁起の良い植物として、
正月の注連飾りに用いられてきました。
 
 
鏡餅を飾る時には裏白を敷いて、
その上に餅を乗せます。
正月も五日ともなると、
「裏白」も枯れ出し乾いて反り返るように
なります。
そうすると、「ああ、もう五日。
七日には年神様がお帰りなる」という思いを
強くさせられます。
 
 
なお、徳川家康は歯朶(しだ)の葉を象った
前立(まえたて)の鎧に殊の外愛着があったようで、
関ヶ原の合戦や大坂の陣に携行した他、
同様のものを別誂えして
奈良県の神社に奉納したことが知られています。「歯朶具足」(しだぐそく)の愛称で親しまれて
います。