伊邪那岐命

(いざなきのみこと)
記紀の天地開闢神話の終わりに現れた男神。
妻の伊邪那美命とともに「国生み」「神生み」をし、
山川草木や万物を司る神々を生むという大事業を成し遂げました。
そして最後に、日本神話史上最も重要な三神「三貴子」を誕生させました。
 
 

どんな神様?

 

妻の伊邪那美命の死

妻の伊邪那美命と次々に多くの神を生み出しましたが、
最後に生んだ火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ )が火の神であったため、
伊邪那美命は大火傷を負い、遂に神避かみさって(亡くなって)しまいます。
 
伊邪那岐命は伊邪那美命の死に涕泣ていきゅう
その涙からも「泣沢女神」(なきさわめのかみ)が生まれました。
 
伊邪那美命を出雲国と伯伎国の境にある比婆(ひば)の山に葬ると、
妻を死に追いやった火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ )を十拳剣で斬り殺し、
この剣に付着した血からも
剣の鍛造や土器製作に関する神々が生まれました。
 
<十拳剣の先端からの血が岩石に落ちて生成された神々>
  ・石折神   (いはさくのかみ)
  ・根折神   (ねさくのかみ)
  ・石筒之男神 (いはつつのをのかみ)

<十拳剣の刀身の根本からの血が岩石に落ちて生成された神々>
  ・甕速日神  (みかはやひのかみ)
  ・樋速日神  (ひはやひのかみ)
  ・建御雷之男神(たけみかづちのをのかみ)

<十拳剣の柄からの血より生成された神々>
  ・闇淤加美神 (くらおかみのかみ)
  ・闇御津羽神 (くらみつはのかみ)
 
 
妻の後を追って死者の国「黄泉の国」に赴くものの、
そこで変わり果てた妻を目にして逃げ帰ってしまいます。
危機一髪で難を逃れ、妻に別離宣言をします。
「ならば、一日に千人殺す」という伊邪那美命に対し、
「一日に千五百人誕生させる」と宣言しました。
 
 

禊で生まれた神

伊邪那岐命は地上の世界に戻ると、
黄泉の穢れから身を清めるために、
竺紫つくし日向ひむかの橘の小門をど阿波岐原あはきはらで「禊」(みそぎ)を行いました。
 
阿波岐原(あわきはら)
黄泉国より帰還した伊耶那岐命が、
自らの体についていた黄泉国の穢れを洗い清めるために
(みそぎ)を行った地。
「阿波岐原」は海岸に近く、青々と樹木の茂った土地と思われ、
現在の地名「檍」(あおき)はその名残をとどめていると思われます。
阿波岐原の広大な松林にある「江田神社」では、
伊邪那岐命と伊邪那美命がお祀りされています。
伊邪那岐命が禊を行った「御池(みそぎの池)」は、
同神社に隣接した松林の中にあります。
 
衣を脱ぐと十二神が生まれました。
1.杖 ➡ 衝立船戸神    (つきたつふなとのかみ)
2.帯 ➡ 道之長乳歯神   (みちのながちはのかみ)
3.袋 ➡ 時量師神     (ときはかしのかみ)
4.衣 ➡ 和豆良比能宇斯能神(わづらひのうしのかみ)
5.袴 ➡ 道俣神      (ちまたのかみ)
6.冠 ➡ 飽咋之宇斯能神  (あきぐひのうしのかみ)
7.左手の腕輪 ➡ 奥疎神     (おきざかるのかみ)
8.  〃   ➡ 奥津那芸佐毘古神(おくつなぎさびこのかみ)
9.  〃   ➡ 奥津甲斐弁羅神 (おきつかひべらのかみ)
10.右手の腕輪 ➡ 辺疎神     (へざかるのかみ)
11.  〃   ➡ 辺津那芸佐毘古神(へつなぎさびこのかみ)
12.  〃   ➡ 辺津甲斐弁羅神 (へつかひべらのかみ)
 
 
それから、死の汚れを祓うために水で洗い清める禊を行い、
多くの神々を生みました。
 
<中流>
  ・八十禍津日神(やそまがつひのかみ)
  ・大禍津日神 (おほまがつひのかみ)
 
<禍(まが)を直そうとすると三神>
  ・神直毘神  (かむなおびのかみ)
  ・大直毘神  (おほなおびのかみ)
  ・伊豆能売  (いづのめ)
 
<水の底>
  ・底津綿津見神(そこつわたつみのかみ)
  ・底筒之男神 (そこつつのをのかみ)
 
<水の中程>
  ・中津綿津見神(なかつわたつみのかみ)
  ・中筒之男神 (なかつつのをのかみ)
 
<水の表面>
  ・上津綿津見神(うはつわたつみのかみ)
  ・上筒之男神 (うはつつのをのかみ)
 
 

三貴子

そして最後に日本神話史上最も重要な三神「三貴子」
(天照大神、月読命 、須佐之男命)を誕生させると、
それぞれに統治を委ねて、
『古事記』では淡海の多賀に「多賀大社」に、
『日本書紀』では淡路に「幽宮」(かくりのみや)を作って
鎮まったとされています。
 
 

別称

  • 伊邪那岐神 ・・・『古事記』
  • 伊弉諾神  ・・・『日本書紀』
 
 

ご利益

  • 恋愛・縁結び
  • 夫婦和合
  • 延命長寿
  • 事業成功
 
 

神格

  • 万物を生み出す生成力
  • 国土創世の神
  • 人類起源の神
  • 天空の父神

 

 

お祀りする神社