初誕生(はつたんじょう)

「初誕生」(はつたんじょう)は、
赤ちゃんが満1歳の誕生日を無事迎えたことを感謝し、
親戚などを招いてお祝いする風習です。
「一升餅」や「選び取り」といった儀式があり、
地域によっては、今でも行なわれています。
 

 

初誕生

赤ちゃんが生まれてから満1歳の誕生日には、
父方母方双方の祖父母や親戚一同が集まり、
盛大にお祝いします。
 
かつて、年齢を「数え年」で数えていた頃は、
誕生日を祝う習慣はありませんでしたが、
初めての誕生日は特別に祝っていました。
 
乳幼児の死亡率が高かった時代に、
1歳の誕生日に迎えられたことは大きな喜びであるとともに、
赤ちゃんから子供へと成長する大切な節目であるため、
「初誕生」は盛大に祝われました。
 
 

伝統的な初節句のお祝いⅠ:一升餅(餅でお祝いをする)

子供が一生(一升)食べるのに困らないように、
一生(一升)足腰が丈夫で健康であるようにとの願いを込めて、
一升(約1.8kg)の丸餅を「一升餅」とか「一生餅」と言います。
 
1歳を迎えて赤ちゃんがヨチヨチ歩き出すため「歩き祝い」とも、
初誕生に餅をついて祝った風習から「餅誕生」とも呼ばれました。
また、健康で力強く育つようにという願いを込めて、
この「誕生餅」や「一升餅」を風呂敷に包んで、
赤ちゃんに背負わせたり、足で踏ませる風習もあります。
そのため、「力餅」「立餅」「踏み餅」などとも呼ばれます。
 
このお祝いは、
地方によっては、赤ちゃんが誕生前に歩くと、
成人後、家を遠く離れるようになると思われたため、
わざと重い餅を背負わせて、転ばせて泣かせることもあったようです。
子供が転ぶと、遠くに離れていかないと喜び、
立っていられたら、力が強い子だと喜びました。
 
また、この先の困難を乗り越えて成長するようにとの願いを込めて、
餅を背負わせずに、餅の上に立たせる地方もあります。
 
餅でお祝いするのは、
餅は神様に捧げる神聖な食べ物で、
餅を食べると特別な力を授かると信じられてきたためです。
 
 

伝統的な初節句のお祝いⅡ:餅以外の初誕生祝い

その他、「初誕生祝い」には、子供の将来に期待を込めた風習もあります。
福岡県などでは、蔵の鍵、そろばんなどの7つの道具を用意し、
子供が何を選ぶかで将来の職業を占います。
 
香川県には、子供の前世を探ろうとする習わしもあります。
母親がお祝いの膳の下から子供を覗き込んで前世を尋ねると分かると
言い伝えられてきました。
 
 

初誕生の贈り物

初誕生のお祝いの品に決まりはありませんが、
少し大きめのサイズの洋服、靴、
おもちゃ、絵本、アルバム・・・・などなど。
赤ちゃんに相応しいものがよいでしょう。
また、欧米の習慣に倣って、
初誕生から毎年の誕生日に同じタイプの銀のスプーンや食器を贈り続け、
やがて一式が揃うという贈り方も増えています。
 
 

初誕生の祝い方

最近では「ファーストバースデー」とも呼ばれる
満1歳の誕生日を祝う「初誕生」のお祝いは、
あまり形式にこだわらず、
バースデーケーキにロウソクを1本立てて内輪で祝うことが多いようです。
 
一方、両家の祖父母、親戚、仲人、ごく親しい人を招いて、
赤飯と尾頭付きの鯛で盛大に祝うこともあります。
そんな時には、生後1年間の写真やビデオなどの
成長記録を披露してはいかがでしょう。
 
また、用意した様々な道具や道具の絵を描いたカードの中から、
赤ちゃんがどれを選ぶかで将来を占う「選び取り」をすることもあります。
 

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