お裾分け(おすそわけ)

「お裾分け」は「お福分け」とも呼ばれるように、
頂いた幸せを近隣の人々で分かち合うという意味があります。
都市部では余り見られなくなりましたが、
近所付き合いが大切にされている地方では、今も盛んです。
 
お裾分けの作法には、 かなり地域差があります。
例えば、お裾分けが入れられた容器を直ぐに返すところもあれば、
直ぐに返しては失礼なので、
ある程度時間を置いて返すところもあります。
 
また、器に何か食べ物を入れて返すべきだというところや、
器は直ぐに洗って返し、
別の機会に手作りのものやお土産の形でお返しをするのが
良いとされるところもあります。
 
 
「お裾分け」という言葉は
いただいたものを他の人に分け与えるという意味ですが、
「お裾分け」という言葉を目上の人に使うのは
失礼な表現として受け止められてしまう可能性があるため、
注意が必要です。
 
お裾分けという言葉で使われる「すそ」とは、着物の裾のこと。
着物の裾は、地面に触れそうな場所にある生地で、
汚れやすい場所にある生地のことなので
「つまらないもの」という意味になります。
 
「つまらないもの」は謙遜の意味ではあるのですが、
「お裾分け」は
「誰かからもらったものを、更に誰かに分ける」ということ。
人からもらったものをつまらないと表現し、
更にそのつまらないものを目上の人に分けて配るというのは
やはり失礼であるいう意味なのでしょう。
 
ですから、「お裾分け」という言葉は、
上下関係のあるデリケートな場面では
避けておいた方が無難であると言えそうです。
 
 

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