福来雀・福良雀(ふくらすずめ)

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平安時代になると、
それまでの異国的なものから
日本的なものを好む
和風化の風潮が高まりました。
そんな中で文様として使われるように
なったものが多くあり、
「雀」(すずめ)もその一つです。
 
 
日本中どこでも見かける身近な鳥の雀は、
場所や季節を問いません。
鎌倉時代の『宇治拾遺物語』に
『舌切り雀』の話が見られるように、
古くから馴染みのある題材として
使われてきました。
 
 
現在は、きものや帯、雀の愛らしい姿から
子供のきものなどにも人気があります。
雀の文様は季節を問わず用いられます。
単独で用いられるだけでなく、
他の文様と組み合わせることで、
季節感を出すことが出来ます。
 
 
「生まれたばかりの小さな雀」は
「春」のモチーフとして、
「稲穂」と「雀」の組み合わせは
「秋」のモチーフとして、
そして「ふくら雀」は、「冬」の寒さから
全身の羽根を膨らませた姿で、
意匠化されています。
「福来雀」や「福良雀」とも書き、
縁起の良い文様として
古くから愛用されています。  
  • 福来雀: 福が来る
  • 福良雀: 良い福をもたらす
 
 いずれも、富と繁栄の意味が込められています。
雀は元々、「厄をついばむ」とされ、
一族繁栄・家内安全の象徴とされてきました。
 
「寿徳」「福徳」「財徳」が備わると言われ、
雀自体が縁起の良いものとされてきましたが、
特に、冬の雀はふっくらしたその姿から、
昔の人も豊かな印象を受けていたようです。
 
 
お百姓さんにとって、
田んぼのお米を食べてしまう雀は
迷惑で疎ましい存在ですが、
ただ、豊作の年なら、
お百姓さんも雀が食べる程度のお米に
目くじらは立てません。
 
雀も、心置きなく米をついばんで、
ふっくらと太ることが出来たことから、
「ふくら雀が見られる」=「豊作の年」
ということで、
ふくら雀が豊かさの象徴となったそうです。
 
「食べるものに困らないように」
「豊かに暮らせるように」
という願いが込められているのです。
 
 
お見合いや結納などで結ばれることの多い
帯の結び方に
「ふくら雀」というがあります。
明治時代から続く最も歴史のある定番結びで、
若い人向きの帯結びで、
丸帯や袋帯で結びます。
  
肩から覗く左右の羽が清楚で愛らしく、
大きさをアレンジすることで、
表情が変わります。
羽の長さやひだを左右対称にとり、
形を美しく仕上げるのがコツです。
 
振袖や訪問着の時に用いられる
成人のお祝いで結ぶ時は、
豊かさの象徴である「ふくら雀」を
帯結びとして娘の背中に背負わせて、
「娘が食べるものに困らず、
 豊かな一生を送れますように」との願いが
込められています。
 
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