福梅(ふくうめ)

 
 
「福梅」は、石川県全域と富山の一部で愛されている
新春を彩る「紅白の梅形もなか」です。
 
 

福梅とは

金沢には正月になると決まって食べる和菓子があります。
最も代表的なのが「福梅」です。
梅の形をした最中で、白と薄紅の2色あります。
中には日持ちさせるために
水あめを練り込んだ硬めのつぶあんが入っていて、
かなり甘めになっています。
 
毎年12月頃になると石川の和菓子店では
「福梅」作りが始まります。
店によって味が違い、最中の形が異なる他、
最中の上に雪に見立てた粉砂糖をかける など、
様々な特徴があります。
 
金沢では、「辻占」(つじうら)と「福梅」と一緒に楽しまれます。
梅の花は高潔で香りが良く、実は土に落ちて、やがて芽を出すことから、
生命力に溢れる縁起の良い木とされます。
 
 

福梅の由来

福梅の由来は諸説あります。
前田家の家紋「剣梅鉢」をモチーフにした説、
前田家の祖先とされる菅原道真を祀った
北野天満宮の大祭の献茶式で振る舞われた
餅菓子「寒紅梅」をヒントに考案された説などがあります。
 
文化6(1809)年、12代加賀藩主の前田斉広(なりなが)
祝賀用の菓子づくりを命じ、
前田家御用の職人・7代樫田吉蔵の妻の発案を元につくられたと
言われています。
 
今も金沢の和菓子店で年末につくられ、店ごとに微妙に味が違い、
石川県全域、更には富山の一部地域でも食されている。
 
 

辻占(つじうら)と福徳

金沢の正月縁起菓子には他に、「辻占」と「福徳」があります。
 
「辻占」は、砂糖と餅粉を混ぜて巾着包みにしたお菓子で、
中には小さなおみくじが入っていて、食べる前に出します。
形は花をかたどられていたり、五角に包まれていたりします。
正月前後にしか出回らず、金沢近郊のみで食されています。
 
「福徳」は、ふくとく・ふっとこ・ふっとくなどと読み、
正式には「福徳煎餅」という名前で売られています。
打ち出の小槌や俵などをかたどった、
最中の皮のような焼いた餅種の中には
金菓糖や小さな土人形が入っており、
食べるまで中は見えないため、古くからこの中身で子供達が一喜一憂します。
 
 

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