祝い酒(いわいざけ)

 
 
日本酒は、
元々古代に神様へのお供え物として造られたのが起源と言われ、
現代でも、おめでたい席や神聖な場では、
伝統的に日本酒が用いられています。
「お清め」としても使われる日本酒は、
新たな人生の門出にピッタリの贈り物と言えるでしょう。
折角のお祝い事ですから、
素敵な贈り物が出来るよう、最低限のマナーを押さえておきましょう。
 
 
お祝い事の贈答品として「祝い酒」を贈る場合は、
古くは一升の「角樽」(つのだる)に入れて持っていくのが
一般的でした。
現在でも、贈答用として角樽入りの日本酒も販売されていますが、
瓶での流通が主流になった現在では、
一升瓶を包んで贈っても失礼には当たりません。
贈答に当たって覚えておきたいマナーがあります。
 
 

価格帯

お祝い事の際に日本酒を贈りたいという場合は、
相手によって目安となる価格帯が異なります。
兄弟や親戚など身近な方への贈り物の場合は三千円前後が一般的です。
それよりももう少し良い物を送りたい相手の場合は五千円前後、
更に良い物をという場合は一万円前後というのが目安とされています。
結婚祝いの際はもう少し高価なものを選ぶ方が多いようです。
但し、高価過ぎるものは、
贈る相手に気を遣わせてしまうことにもなりますし、
一方、目上の方に安過ぎるものを贈るのは失礼になります。
関係性や何のお祝いなのかを踏まえて、
適切なものを選ぶようにしましょう。
 
 

お祝いに贈る日本酒の選び方

贈る相手の日本酒の好みが分かっている場合は
それに合わせるようにしましょう。
お祝いの日本酒を選ぶ場合は、名前にも注目しましょう。
「寿」や「松竹梅」など、縁起のいい名前のものが好まれます。
 
特に、還暦のお祝いには
このような長寿を連想させる名前の日本酒を選ぶと良いでしょう。
お祝い事ですので、華やかさがある方が良いとされます。
例えば、木箱に入ったものや
ラベルが金色で高級感のあるものが華やかです。
 
日本酒はお祝いに適していると言われますが、
基本的な前提として、
先方がお酒を飲めるのかどうかを確認しておくことが必要でしょう。
また、受け取る側が日本酒に苦手意識を感じている場合は
避ける方が無難です。
日本酒をあまり飲んだことがないという相手には、
スパークリングの日本酒を選ぶという手もあります。
スパークリングのものは日本酒の中でも飲みやすい物が多く、
初心者向きだと言えるからです。
 
また、現在では「お中元」や「お歳暮」などに
ビールがよく用いられますが、
「祝い酒」にはワインやシャンパンなども好まれます。
マナーはもちろん、
先方の健康状態や好みを踏まえておくことが大切です。
 

贈り方

日本酒を瓶で贈る際は、
1本だけでなく、2本セットにして贈るのが多いようです。
これは、2本の酒瓶を紐でまとめた
「2本縛り」や「2本括り」と呼ばれる姿が、
角樽のシルエットに似ているためだからだそうです。
 
別に、形式ばったお祝いでなければ、
贈る本数は1本でも3本でも問題ありませんが、
一般的にお祝い事の贈り物の数は「奇数」が好まれ、
「偶数」はあまり好まれないと言われています。
これは、古代Chinaの陰陽思想において、
奇数は「積極性を表す陽の数字」、
偶数は「陽の当たらない陰の数字」とされていたためのようです。
気をつけたいのは4本と9本。
「死」や「苦」を想起させるため、
マナーとして避けるようにしましょう。
逆に、8本は末広がりの数字のため、
偶数ではあってもよしとされる場合もあります。
 
 

贈る日本酒のサイズに注意が必要な場合

お祝い事の内容によっては、
古くからのしきたりや形式を重視する必要があります。
「一生」を連想させるお祝い事には、
一升瓶以上の日本酒を贈るようにしましょう。
例としては、「結納」や「企業のお祝い」、「新築祝い」などです。
これは、「一升」を「一生」とかけて、
「いっしょう」続いて欲しいという願いを込めてのことでしょう。
 
 

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