「幣帛」(へいはく)とは、
祭祀において神々に対する祈願などのために奉られるものです。
「幣」「帛」が共に布に因む意味を持つことから、
元々は布地を表した語で、
古くより絹や麻、木綿(ゆう)などの布帛を
柳筥(やないばこ)に納めてお供えをしました。
布帛をお供えする時は、くすんだ赤い布が用いられてきました。
現代では、神式の葬儀で
串の先に赤い紙を挟んだもの祭壇にお供えしますが、
これを指して「幣帛」と呼ぶことも多いです。
柳筥(やないばこ)
柳の枝を細い三角形に削り、編んで作った四角い箱。
また、柳の木を細長く三角に削って寄せ並べ、
生糸やこよりで編んだ蓋付きの箱のこと。
硯・墨・筆・短冊や冠などを納めました。
後世はその蓋だけを用い、桟を高くして足として、
冠・烏帽子・硯・墨・筆・書籍・短冊・経典などを載せるのに
用いました。
現代では、布以外にも、紙、玉、衣服、酒、貨幣などをお供えします。
「幣帛料」は、この布帛の代りに金銭をお供えする場合に使う言葉です。
明治の神社制度では、官国弊社には例祭などの折、
「幣帛現品」もしくは「幣帛料」と「神饌料」がそれぞれ奉られました。
官幣社の「例祭」には皇室より「幣饌料」の御奉納があり、
国幣社の「例祭」には国庫より供進されました。
戦後は、神社本庁より
包括化の神社の例祭などの祭祀に「本庁幣」として貨幣が供進されています。